やってはいけませんと制止するする女性

「腰痛があるけど筋トレは続けたい」
「やった方がいいのか、悪化しないか心配…」
と悩んでいませんか?

実は、腰痛持ちの方でも筋トレは可能ですが、選び方を間違えると、かえって症状を悪化させるリスクがあります。

この記事では、腰痛持ちがやってはいけない筋トレとその理由をわかりやすく解説し、安全に体を鍛えるための代替メニューもご紹介します。

正しい知識を身につけ、腰に優しい筋トレ習慣を始めましょう。

結論|腰痛持ちは筋トレ選びを間違えると悪化リスクが高まる

筋トレで腰痛になる女性②

腰痛を抱えながら「筋トレで体を良くしたい」と考える方は多いかもしれません。

しかし、筋トレの選び方を間違えると、腰への負担が増え、症状を悪化させるリスクが高まります。

特に腰痛持ちの場合は、通常よりも筋肉や関節の許容範囲が狭くなっているため、慎重な種目選びが不可欠です。

ここでは、腰痛持ちが筋トレを行う際に最も注意すべきポイントについて、結論からわかりやすく解説します。

腰痛時に筋トレを間違えると悪化するリスクがある

腰痛を抱えているときに、自己流で筋トレを始めるのは危険です。

誤った種目やフォームでトレーニングを続けると、腰椎に過剰な負担がかかり、症状を悪化させる可能性があります。

ここでは、筋トレの選び方を間違えることがなぜリスクになるのか、具体的に解説します。

誤った筋トレは腰椎に過剰な負担をかけ、症状を悪化させる

腰椎は、本来大きな可動域を持たず、安定性が求められる部位です。

しかし、誤ったトレーニング、たとえば無理に腰を曲げる、反るといった動作を繰り返すと、腰椎に想定以上のストレスがかかります。

特に椎間板や椎間関節への負担が増大し、結果として痛みの悪化や、新たな障害のリスクを高めることにつながります。

特に腰痛持ちは、通常よりも筋肉・関節の許容範囲が狭い

腰痛を持っている方は、筋肉の柔軟性や関節の可動域が健常者に比べて制限されている場合が多いです。

小さな負荷でも耐えきれず、組織への損傷や炎症を引き起こしやすくなっています。

このため、無理な負荷をかける筋トレや、広すぎる可動域を求める運動は、腰痛の悪化を招きやすく、慎重な対応が求められます。

適切なメニュー選びが腰痛改善と予防の第一歩になる

正しく選ばれた筋トレメニューは、腰痛の悪化を防ぐだけでなく、症状の改善や再発予防にもつながります。

特に体幹深層部(腹横筋や多裂筋)を安全に強化できるトレーニングは、腰椎の安定性を高める効果が期待できます。

無理のない範囲で、体に合った種目をコツコツと積み重ねることが、腰痛と上手に付き合う第一歩です。

腰痛持ちが避けるべき筋トレの共通点とは

腰痛を抱えている方にとって、すべての筋トレが安全とは限りません。

とくに、ある共通点を持った筋トレは、腰への負担を増大させ、痛みを悪化させるリスクがあります。

ここでは、腰痛持ちが避けるべき筋トレに共通する特徴を整理し、安全に体を鍛えるためのヒントをお伝えします。

腰部を過度に曲げる・反らす動作を伴う

腰椎は本来、限られた可動域のなかで安定性を維持すべき部位です。

しかし、過度に腰を曲げたり、反らせたりする動きを繰り返すと、椎間板や椎間関節に強いストレスがかかり、腰痛を悪化させる原因になります。

特に、シットアップやハイパーエクステンションのように、大きな動きを強調する種目は注意が必要です。

重量や可動域を無理に追求するもの

「もっと重い負荷で鍛えたい」「より深く動かしたい」と、無理に重量や可動域を追い求めるトレーニングも、腰痛持ちには危険です。

筋力や柔軟性の不足をカバーできないまま負荷を増やすと、フォームが崩れ、腰椎に過剰な力が集中します。

腰痛を抱えているときは、フォームを最優先に、体が無理なくコントロールできる範囲で行うことが重要です。

体幹の安定性を無視して動かすトレーニング

どんな筋トレでも、体幹の安定性が確保されていなければ安全とは言えません。

腹圧を意識せずに動いたり、背骨を不安定な状態で負荷をかけたりすると、腰部へのストレスが倍増します。

特に腰痛持ちの場合、動作中は常に体幹を安定させる意識を持ち、腰椎への負担を最小限に抑えることが必要です。

理由|腰痛悪化を招く筋トレとは?

反り腰で腰痛の女性

「腰痛持ちには筋トレが効果的」と言われる一方で、やり方を間違えると症状を悪化させるリスクが潜んでいます。

特に、腰部の構造的な特性や、動作中にかかるストレスについて理解していないと、知らず知らずのうちに腰に負担をかけてしまうことも。

この章では、なぜ筋トレによって腰痛が悪化するのか、その背景にある「体の仕組み」と「リスク要因」を丁寧に解説します。

腰部構造の弱点|負担集中エリアの仕組み

腰椎は、身体を支える大黒柱のような存在ですが、実は構造上、大きい可動性よりも安定性を重視するつくりになっています。

このため、無理な動きや過度な負荷がかかると、特定のエリアにストレスが集中しやすくなります。

ここでは、腰椎の構造的な弱点と、負担がかかる仕組みについて詳しく見ていきましょう。

腰椎は構造的に大きな可動域を持たず、負担が集中しやすい

腰椎は、頚椎や胸椎に比べて可動域が狭く、主に体幹の安定を担う役割を持っています。

しかし、この可動性の低さゆえに、一方向に無理な動きを強いられると、負荷が一点に集中しやすい特徴があります。

特に前屈や反り動作など、大きな動きを繰り返すことで、腰椎本来の安定性が損なわれ、ダメージが蓄積しやすくなります。

椎間板や椎間関節が力学的ストレスの主な受け手となる

腰椎に負荷が集中すると、そのストレスを直接受け止めるのが椎間板や椎間関節です。

椎間板は上下の椎体の間でクッションのような役割を果たしますが、過剰な圧力や曲げ伸ばし動作が繰り返されると損傷しやすくなります。

また、椎間関節にも強い剪断力や圧迫力がかかり、炎症や変性を引き起こすリスクが高まります。

本来は体幹周囲の筋肉が負担を分散する役割を果たす

本来、腰部にかかるストレスは、腹横筋や多裂筋など、体幹周囲の筋肉が分散して支える仕組みになっています。

これらの筋肉が適切に働いていれば、腰椎自体に過剰な負担がかかることはありません。

しかし、体幹筋群が弱かったり、うまく機能していない状態では、腰椎単独でストレスを受け止めることになり、結果として腰痛リスクが高まります。

腰痛には屈曲型と伸展型がある(+セルフチェック)

一口に腰痛といっても、すべての症状が同じわけではありません。

腰を曲げたときに痛みが出るタイプと、反らせたときに痛みが出るタイプに大きく分けられます。

ここでは、腰痛のタイプを理解する重要性と、簡単にできるセルフチェック方法について解説します。

屈曲型腰痛は前かがみで悪化しやすいタイプ

屈曲型腰痛は、体を前に倒したときに痛みが強くなるタイプです。

このタイプでは、前屈動作によって椎間板や腰部後方の組織に圧力が集中し、痛みが誘発されやすくなります。

靴下を履く、床に落ちたものを拾う、といった日常動作でも痛みを感じやすいのが特徴です。

伸展型腰痛は腰を反らす動作で痛みやすいタイプ

伸展型腰痛は、腰を反らせたときに痛みが強くなるタイプです。

背筋を伸ばす、立ったまま上体を反らすといった動作で、椎間関節や後方組織にストレスがかかり、痛みが生じやすくなります。

長時間の立位や、腰を反る動作を含む運動で痛みが悪化する場合は、このタイプを疑うべきでしょう。

簡単なセルフテストで自分のタイプを見極めることができる

腰痛のタイプは、簡単な動作テストでおおよその傾向を把握することが可能です。

前屈(体を前に倒す)と伸展(体を後ろに反らす)の両方を行い、どちらで痛みが強く出るかを確認します。

前屈で痛みが強まる、もしくは立ったまま太ももを上げた時に痛みが強まる場合は屈曲型。

体を反らす動作、もしくは体を捻った時に痛みが強まる場合は伸展型である可能性が高いです。

過度な前屈と伸展、どちらにもリスクがある

腰痛対策として、「前屈を避けましょう」あるいは「反らしすぎに注意しましょう」といったアドバイスを目にすることがあります。

しかし実際には、前屈も伸展も、どちらか一方だけが危険なのではなく、それぞれに異なるリスクが存在します。

ここでは、前屈と伸展それぞれの負担メカニズムと、安全に動作を行うために押さえるべきポイントを整理していきます。

過度な前屈で椎間板内圧が上昇し、損傷リスクが高まる

前屈動作では、腰椎の椎間板に大きな圧力がかかります。

実際に、Wilkeら(1999年)の研究では、日常動作における椎間板内圧を測定し、「前かがみ動作では椎間板内圧が通常時の数倍にまで上昇する」ことが明らかになっています。

特に深い前屈姿勢では、椎間板への負荷が大幅に増大し、損傷やヘルニアのリスクが高まると報告されています。

また、重い物を持ち上げる、長時間前かがみで作業するといった状況では、椎間板ヘルニアや慢性腰痛を引き起こすリスクがさらに増大することも指摘されています。

Wilkeら(1999年)の研究
[1]WilkeHJ,NeefP,CaimiM,HooglandT,ClaesLE.
Newinvivomeasurementsofpressuresintheintervertebraldiscindailylife.
Spine(PhilaPa1976).1999Apr15;24(8):755-62.PubMedPMID:10222525

過度な伸展で椎間関節や後方組織にストレスがかかる

腰を過度に反らす伸展動作も、安全とは言えません。

伸展によって腰椎後方にある椎間関節や靭帯に強い圧縮ストレスがかかり、関節障害や炎症、慢性痛の原因になることがあります。

特に、反動をつけて勢いよく腰を反らすような動作は、組織へのダメージを大きくするため注意が必要です。

正しい反る動きは「股関節」と「胸椎」がポイント

体を後ろに反らせる動作は、本来「腰椎」だけで行うものではありません。

股関節の伸展(脚の付け根を伸ばす動き)と、胸椎の伸展(背中の上部を自然に反らす動き)を組み合わせることが、安全な反り動作の基本です。

腰椎だけで無理に反ろうとすると、椎間関節や椎間板に過剰な負担が集中し、痛みや障害のリスクを高めてしまいます。

反り動作では、股関節と胸椎を積極的に動かし、腰部へのストレスを分散させることが重要です。

安全な動作には腹圧の安定が欠かせない

前屈や伸展といった動作を安全に行うためには、腹圧(体幹内圧)を高めて腰椎を安定させることが不可欠です。

腹圧をしっかり保った状態で動くことで、骨盤・脊椎周囲の筋肉が連携し、腰部へのストレスを効果的に分散できます。

逆に腹圧が抜けた状態で大きく曲げたり反ったりすると、腰椎単独に負担が集中し、腰痛悪化のリスクが大きくなります。

トレーニングや日常動作でも、「まず腹圧を意識する」ことを基本にすることが、腰を守るうえで重要なポイントです。

間違ったフォームが腰痛を悪化させる理由

筋トレ中にどれだけ意識しているつもりでも、フォームが乱れてしまうと、かえって腰への負担を大きくしてしまうことがあります。

腰痛を防ぐには、適切なフォームを維持しながら動作することが不可欠です。

ここでは、フォームの乱れがどのように腰痛を悪化させるのか、科学的な視点も交えながら解説します。

正しいフォームを維持できないと、局所的な負担が大きくなる

正しいフォームを保つことは、体全体でバランスよく力を分散させるために欠かせません。

しかし、フォームが崩れると特定の部位にストレスが集中し、腰椎や周囲組織に過剰な負荷がかかってしまいます。

本来なら複数の関節・筋肉で分担すべき力を、腰だけで支えるような形になり、痛みや損傷のリスクが高まります。

骨盤・腰椎の位置が乱れることで椎間板や靭帯に負担集中

トレーニング中に骨盤や腰椎のニュートラルな位置が乱れると、椎間板や靭帯に異常な力がかかる状態になります。

例えば、骨盤が前後に過剰に傾いたり、腰椎が過度に丸まったり反ったりすると、椎間板への圧迫や靭帯の過伸展を引き起こします。

この状態が続くと、微細な損傷が積み重なり、腰痛が慢性化するリスクも高くなります。

不適切な姿勢での荷重による椎間板内圧上昇が確認されている

先ほどの「Wilkeら(1999年)の研究」でもあったように、不適切な姿勢や動作中に椎間板内圧が大きく上昇することが示されています。

特に背中を丸めた状態で重い荷重を扱うと、立位や正しい姿勢時と比べて椎間板への圧力が大幅に増大することが明らかになっています。

この科学的なデータは、腰痛予防のためにはフォームを整える重要性を裏付けるものです。

NG筋トレ|腰痛持ちが絶対避けるべき動きと種目

NG行動を説明する女性②

筋トレは腰痛改善に役立つ反面、種目選びを誤ると症状を悪化させるリスクも伴います。

特に、腰椎に大きな負担がかかる動きや、正しいフォームを維持しにくいトレーニングは注意が必要です。

ここでは、腰痛持ちが避けるべき具体的な筋トレ種目と、その理由についてわかりやすく解説していきます。

腹筋運動(シットアップ・クランチ)の危険性

腹筋を鍛える代表的な種目であるシットアップやクランチですが、腰痛持ちにとってはリスクの高い運動になります。

これらの動きには、腰椎への過度な屈曲ストレスが伴うため、症状の悪化を招きやすいのです。

ここでは、シットアップやクランチが腰痛に与える悪影響と、より安全な代替策について解説します。

腰椎を過度に屈曲させる動作で椎間板に負担がかかる

シットアップやクランチでは、背中を丸めながら体を持ち上げるため、腰椎が強く屈曲されます。

この過度な屈曲動作によって椎間板内圧が上昇し、椎間板への負担が大きくなります。

特に既に腰痛を抱えている人では、椎間板の損傷やヘルニアリスクを高める危険性があるため注意が必要です。

腹直筋に偏った負荷が体幹バランスを崩す

シットアップやクランチは、主に腹直筋(お腹の前側の筋肉)をターゲットにする種目です。

しかし、腹直筋だけを鍛えすぎると、体幹の前後バランスが崩れ、腰椎の支持力が低下する原因になります。

本来は腹横筋や多裂筋など、体幹の深層筋とバランスよく鍛える必要があり、腹直筋偏重のトレーニングは腰痛リスクを高めます。

腰痛持ちにはリスクが高いため代替メニュー推奨

腰痛を持っている方にとって、シットアップやクランチのような運動は避けた方が賢明です。

代わりに、体幹を安定させるプランクやデッドバグといった、腰に負担をかけにくい種目を選ぶことをおすすめします。

これらの代替メニューは、腰椎を安定させながら体幹を強化できるため、腰痛改善にも効果的です。

ハイパーエクステンションのリスク

ハイパーエクステンション(バックエクステンション)は、背筋群を鍛えるトレーニングとして知られています。

しかし、腰痛持ちにとってはこの種目も大きなリスクを伴います。

ここでは、ハイパーエクステンションが腰部にどのような負担をかけるのか、注意すべきポイントを整理して解説します。

腰椎を過度に反らせることで後方組織に強いストレス

ハイパーエクステンションでは、上体を大きく持ち上げる動作によって腰椎が過度に反らされます。

このとき、椎間関節や後方靭帯といった腰椎後方の組織に強い圧迫ストレスが加わり、損傷や炎症を引き起こすリスクが高まります。

特に反動をつけて勢いよく持ち上げる動作は、腰への負担をさらに大きくするため注意が必要です。

筋力不足のまま行うと腰部を痛めやすい

体幹筋群、とくに腹横筋や多裂筋といったインナーマッスルが弱い状態でハイパーエクステンションを行うと、腰部を安定させることができず、動作中に過剰な負担が腰椎に集中します。

筋力不足のまま行うことで、背筋を鍛えるどころか腰を痛める結果になりかねません。

まずは体幹の安定性を高めてから、正しいフォームで安全に取り組むことが重要です。

腰椎を固定し、胸椎の伸展を意識することが重要

ハイパーエクステンションを安全に行うためには、「腰椎をなるべく動かさず、胸椎(背中の上部)を伸展させる」意識が欠かせません。

腰椎を過剰に動かすと後方組織に大きなストレスがかかるため、腰は安定させたまま、胸を軽く開くようにして動作するのが理想です。

この体の使い方を意識することで、背筋群を鍛えながらも腰への負担を最小限に抑えることができます。

フォームが崩れたスクワットの落とし穴

スクワットは下半身を強化する優れたトレーニングですが、フォームが崩れると腰椎に大きな負担をかけるリスクがあります。

特に腰痛持ちの方にとっては、スクワットのフォーム管理が非常に重要です。

ここでは、スクワット時に起こりやすいフォームの問題と、それによって腰痛が悪化するメカニズムについて解説します。

腰が丸まる・反りすぎることで腰椎に負担集中

スクワット中に腰が丸まったり、逆に反りすぎたりすると、腰椎への負担が極端に高まります。

腰が丸まると椎間板への圧迫力が増加し、反りすぎると椎間関節や靭帯へのストレスが強くなるため、どちらも腰痛を悪化させる要因になります。

腰をニュートラル(自然なカーブを保った状態)に維持することが、スクワットを安全に行うための基本です。

体幹が弱いと下半身トレーニング中に腰痛を引き起こす

体幹の筋力が十分に備わっていないと、スクワット動作中に骨盤と腰椎の安定性が失われます。

その結果、重力や負荷をうまく分散できず、腰に過剰なストレスが集中してしまいます。

体幹が弱いままスクワットを行うと、腰痛のリスクが高まるだけでなく、フォーム崩れによる他のケガにもつながるため注意が必要です。

正しいフォーム習得が最重要

スクワットで腰痛を防ぐためには、まず「正しいフォーム」を徹底して習得することが何より大切です。

足幅、膝とつま先の向き、骨盤の傾き、背骨の自然なカーブを常に意識しながら動作を行う必要があります。

軽い負荷から始め、体幹の安定を意識しながら丁寧にフォームを作り上げることが、腰を守りながら安全に下半身を強化する最短ルートです。

無理な前屈ストレッチ(トゥータッチ)のリスク

前屈動作を伴うストレッチは、腰痛予防や柔軟性向上に良いとされることが多いですが、実際には注意が必要です。

特にトゥータッチのように深く前屈する動きは、腰椎に過剰なストレスをかける危険性があります。

ここでは、無理な前屈ストレッチが腰痛持ちに与えるリスクについて詳しく解説します。

腰を過度に曲げると椎間板内圧が急上昇する

体を大きく前に倒すと、腰椎の椎間板にかかる内圧が大きく上昇します。

この状態が続くと、椎間板の変性や損傷のリスクが高まり、腰痛を悪化させる可能性があります。

特に勢いをつけて深く前屈するような動作は、瞬間的に非常に高い圧力が加わるため、避けるべきです。

屈曲型腰痛の人はリスクが高い

前屈動作で痛みが出る「屈曲型腰痛」の方にとって、無理な前屈ストレッチは非常に危険です。

椎間板や周囲組織にすでにストレスがかかっているため、さらに過負荷をかけると症状が悪化するリスクが高まります。

とくに痛みや違和感を感じやすい方は、前屈を深く行うストレッチを避けるべきです。

痛みや違和感がある場合は即中止すべき

前屈ストレッチ中に腰に痛みや違和感を感じた場合は、無理をせずすぐに動作を中止することが重要です。

「少しぐらいなら大丈夫」と続けると、腰椎や椎間板に深刻なダメージを与えるリスクがあります。

腰痛持ちのストレッチでは、違和感が出た時点で動作を止め、安全な範囲でのみ取り組む意識が必要です。

無理な重量アップが腰を壊す理由

筋トレの効果を高めたいという気持ちから、早い段階で重量を増やしたくなることはよくあります。

しかし、筋力や安定性が十分に備わっていないうちに無理に重量を上げると、腰へのダメージリスクが一気に高まります。

ここでは、無理な重量アップが腰を壊す原因と、正しい進め方について解説します。

筋力・安定性が不足している段階で重量を増やすとフォーム崩れが起こる

十分な筋力や体幹の安定性がないまま重量を増やすと、動作中にフォームを維持できなくなります。

フォームが崩れると、特定の関節や筋肉に負荷が偏り、特に腰椎へのストレスが急激に高まります。

トレーニングでは「扱える重量」ではなく、「正しいフォームを維持できる重量」を基準にすることが大切です。

急激な負荷増加は椎間板・靭帯・関節に過剰なストレスを与える

重量を急激に増やすと、椎間板や靭帯、関節といった構造に一気に過剰なストレスがかかります。

特に腰椎周辺は衝撃に弱く、耐えきれずに微細な損傷や炎症を起こすリスクが高まります。

筋力や安定性の成長スピードに合わせて、段階的に負荷を上げることが、安全にトレーニングを続けるためには欠かせません。

まず正しいフォームを確実に作ることが重要

腰を守りながら安全に筋力を高めるには、まず軽い重量で正しいフォームを確実に習得することが最優先です。

フォームが固まってから徐々に負荷を増やしていけば、腰へのストレスを最小限に抑えながら、効率よく筋力を向上させることができます。

焦らず丁寧に積み重ねることが、腰痛予防とトレーニング効果を両立させるカギです。

実践|腰痛持ちでも安心できる代替筋トレメニュー

ダンベルトレーニングをする女性

腰痛があると、どんな筋トレを選べばいいのか迷う方も多いでしょう。

しかし、正しい種目を選び、適切なフォームで行えば、腰に負担をかけずに安全に体を鍛えることが可能です。

ここでは、腰痛持ちでも安心して取り組める、自宅でもできる代替筋トレメニューを厳選してご紹介します。

体幹強化プランクの安全なやり方

体幹のインナーマッスル(腹横筋、多裂筋など)を鍛えることで、腰椎の安定性を高め、腰痛予防・改善に役立ちます。

手順(初心者向け)

  1. うつ伏せになり、肘とつま先を床につける。
  2. 肩からかかとまで一直線になるように体を浮かせる。
  3. 腹筋に力を入れ、腰が反らないように30秒キープ。

フォーム解説

  • 頭からかかとまで一直線を意識する。
  • お尻が上下にぶれないように注意する。

NG例

  • 腰が反ってしまう
  • お尻が上がりすぎる
  • 顔が下を向きすぎて首が落ちる

ヒップリフトで骨盤周りを強化

大臀筋とハムストリングスを鍛えることで骨盤の安定性が向上し、腰への負担が軽減されます。

手順(初心者向け)

  1. 仰向けに寝て、膝を立てる。足は肩幅程度に開く。
  2. かかとで床を押しながらお尻を持ち上げる。
  3. 体が一直線になったら2秒キープして、ゆっくり下ろす。

フォーム解説

  • 持ち上げるときに腰を反らせず、腹筋にも力を入れる。
  • 肩から膝までを一直線に保つ。

NG例

  • 腰を反ってしまう
  • 上げるときに反動を使う
  • お尻だけでなく背中まで反ってしまう

バードドッグで体幹バランスを改善

体幹の左右バランスと安定性を高め、動作中の腰部への負担を軽減します。

手順(初心者向け)

  1. 四つ這いになり、手は肩の下、膝は腰の下に置く。
  2. 右手と左脚を同時にまっすぐ伸ばす。
  3. 体幹を意識して2秒キープし、元に戻す。左右交互に行う。

フォーム解説

  • 骨盤を水平に保ち、体がねじれないように注意する
  • 手脚は床と平行に伸ばすイメージ

NG例

  • 伸ばした脚が下がる
  • 骨盤が左右に傾く
  • 腰が落ちる

ウォールスクワットで下半身を安全に鍛える

壁を使うことで正しい姿勢を補助しながら、太もも・お尻・体幹を同時に強化できます。

手順(初心者向け)

  1. 壁に背をつけて立ち、足は肩幅に開き、壁から少し前に出す。
  2. 背中を壁につけたまま、膝が90度曲がるまでゆっくり腰を落とす。
  3. 2〜3秒キープし、ゆっくり元に戻る。

フォーム解説

  • 膝がつま先より前に出ないように注意する
  • 背中を常に壁に密着させる

NG例

  • 膝がつま先より前に出る
  • 背中が壁から浮く
  • 反動を使って立ち上がる

デッドバグで体幹を安全に強化する

仰向けで腹筋群(腹横筋、多裂筋)を活性化し、腰椎を安定させる体幹トレーニングです。

手順(初心者向け)

  1. 仰向けに寝て、両手と両膝を90度に上げる
  2. 腰を床に押し付けるように腹圧をかける
  3. 右手と左脚をゆっくり伸ばし、元に戻す
  4. 左右交互に繰り返す

フォーム解説

  • 常に腰を床につけたまま動作する
  • 伸ばす手脚は床と平行を意識する

NG例

  • 腰が床から浮く
  • 伸ばす動作を急ぎすぎる
  • 腹圧が抜ける

まとめ|腰痛持ちが筋トレで守るべき3つの原則

まとめを説明する女性

腰痛を抱えている方が筋トレを行う際は、

①腰に負担をかけない種目を選ぶこと
②正しいフォームを最優先にすること
③少しでも違和感があればすぐに中止すること

この3つの原則を守ることが重要です。

自己流で無理をすれば、かえって症状を悪化させるリスクがあります。

正しい知識をもとに、安全なトレーニングを積み重ね、腰痛改善への第一歩を踏み出しましょう。

今日から一つずつ、できることから始めてみてください。

よくある質問(Q&A)

Q&A

腰痛がある状態で筋トレを続けるべきか、どんな種目なら安全なのか…。

実際に多くの方が抱える疑問に、国家資格を持つ専門家の視点からわかりやすくお答えします。

安心してトレーニングを続けるために、ぜひ参考にしてください。

Q1.軽い腰痛でも筋トレをして大丈夫ですか?

A.痛みが軽度で、日常生活に支障がない範囲であれば、体幹を安定させる軽い筋トレは推奨されます。

ただし、違和感が出た場合はすぐに中止し、無理をしないことが大切です。

Q2.腹筋運動はすべて避けるべきでしょうか?

A.シットアップやクランチのような「腰を大きく丸める腹筋運動」は避けた方が安全です。

代わりに、腹横筋など体幹深層筋を鍛えるプランクやデッドバグを取り入れるのがおすすめです。

Q3.どれくらいの頻度で筋トレを行えばよいですか?

A.週に2〜3回、無理のない範囲で継続するのが理想です。

毎日やる必要はなく、むしろ筋肉や体幹を休ませながら回復を促すことが、腰痛予防には効果的です。

Q4.筋トレ中に腰に違和感を感じたらどうすればいいですか?

A.すぐにその運動を中止してください。

違和感がある状態で続けると、症状の悪化や新たなケガを引き起こすリスクが高まります。

一度体を休め、必要に応じて専門家に相談しましょう。

Q5.反り腰でもスクワットはやってもいいのでしょうか?

A.はい、ただしフォームに注意が必要です。

骨盤をニュートラルな位置に保ち、体幹を安定させながら無理のない可動域で行えば、腰への負担を抑えて安全にスクワットを行えます。

Q6.腰痛持ちが最初に取り組むべきおすすめの筋トレは何ですか?

A.プランク、ヒップリフト、バードドッグなど、腰椎に直接大きな負担をかけずに体幹を鍛える種目がおすすめです。

これらは自宅でも手軽に始められ、腰の安定性を高める基礎作りに効果的です。