
ゴルフは生涯スポーツとして人気が高い一方、腰痛のリスクが非常に高い競技としても知られています。
特にスイング動作やラウンド中の歩行など、腰への負担が積み重なる場面が多く、プレーを楽しむはずが痛みによってスコアも気分も崩れてしまうケースは少なくありません。
本記事では、ゴルフ腰痛の原因から自宅でできるストレッチ・筋トレ・再発予防のスイング改善までを、NASM-PESの資格を有する専門家が徹底的に解説します。
- 「なぜゴルフで腰が痛くなるのか?」
- 「どうすれば再発を防げるのか?」
このような疑問に答えながら、痛みを抱えながらもゴルフを続けたい方が、安心してプレーできるようになるための実践策をご紹介します。
ゴルフ腰痛は競技者の約80%が抱える問題
ゴルファーの多くが、腰に違和感や痛みを感じています。
実際、2025年にNLC野中腰痛クリニックが実施した調査によると、60代以上のゴルファーのうち79.5%が「ゴルフ中に腰に負担を感じている」と回答しました。
特に「ショット時」が最も負担を感じる場面で、63.6%が該当しています。
また、プレー後に腰の痛みが続く期間は「2〜3日」が約44%、さらに14%は「常に腰に違和感がある」と回答しており、一過性ではなく慢性的な問題として腰痛を抱えているケースも多いのが現状です。
このような背景にも関わらず、湿布やストレッチといったセルフケアに頼り切って根本的な改善を図れていない人も多く見受けられます。
ゴルフ腰痛は誰にでも起こりうる深刻な身体のサインであり、再発を防ぐには「正しい知識」と「個別に合った対処法」の実践が不可欠です。
ゴルフ腰痛が起こる4大メカニズム
ゴルフによる腰痛は、ただの「疲労」や「加齢」が原因ではありません。
実はスイング動作の中に、腰に強いストレスをかける要素がいくつも隠れています。
ここでは、腰痛を引き起こす代表的な4つのメカニズムについて解説します。
自身のスイングを見直すきっかけにして、予防や改善に役立ててください。
前傾姿勢で椎間板に圧縮ストレス
ゴルフのアドレス(構え)の姿勢は、自然と上体を前に倒す「前傾姿勢」になります。
この状態でスイングを繰り返すと、腰椎の前方に位置する椎間板に圧縮ストレスが集中しやすくなります。
とくに第4~5腰椎(L4-L5)は、もともと可動域が少なく、回旋による負荷を逃がしにくい構造です。
長時間の練習やラウンドでこの部位(腰椎)に過剰な圧がかかり続けると、腰の張りや違和感が慢性化し、やがて腰痛に変わります。
さらに、体幹が不安定な状態で無理に前傾姿勢を保つと、筋肉ではなく椎間板や靭帯に頼った姿勢保持になり、腰への負担が増します。
このような「静的な負担」は気づかないうちに蓄積し、プレー後の腰痛として現れるのです。
回旋+側屈スイングによる椎間関節の剪断力
スイング時には「体をひねる動き=回旋動作」が不可欠ですが、これに加えて「体を横に倒す側屈動作」も同時に発生しています。
この2つが組み合わさることで、椎間関節(腰椎の後方にある関節)に強い剪断ストレスがかかります。
とくにフォロースルーでは、腰椎の片側だけに圧力が集中する非対称の負担が起こりやすく、一部の関節にダメージが偏る構造的リスクが潜んでいます。
このような非対称動作を何百回と繰り返すことで、関節包や靭帯の微小損傷が蓄積され、プレー後に鋭い痛みや引っかかり感を覚えるケースが少なくありません。
また、フォームが崩れていたり、体幹の安定性が低かったりすると、こうした剪断力はさらに強くなり、腰椎のねじれ耐性を超えてしまうリスクも生まれます。
胸椎伸展可動域の不足が腰椎へ過剰な伸展ストレスを生む
ゴルフスイングでは「体を反らす」動き、つまり伸展動作が重要ですが、このとき胸椎(背中の上部)が十分に動かないと、その代償として腰椎が過剰に反ってしまう状態が発生します。
本来、胸椎は上半身の伸展や回旋に大きく関わる部位であり、スムーズな動きには欠かせません。
しかしデスクワークや猫背の姿勢が続くと、胸椎の柔軟性が失われ、スイング中に「反れない・回せない」状態になります。
すると身体はその動きを補おうとして、動きやすい腰椎を無理に使い始めるのです。
これが、腰部の伸展過多(=反りすぎ)につながり、椎間関節や椎間板へのストレスが一気に増大します。
特に、トップからフォロースルーの局面では、胸椎が使えない分、腰だけを反ってボールを追いかけるようなフォームになりがちです。
この動きがクセになると、慢性的なゴルフ腰痛の原因になります。
つまり、胸椎の柔軟性が不足していると、腰が頑張りすぎてしまう構造になってしまうのです。
胸椎をしっかり伸ばせるようにすることは、ゴルフ腰痛を防ぐうえで極めて重要なポイントといえるでしょう。
体幹筋力と股関節可動域の不足が代償動作を招く
ゴルフのスイングは、下半身からの回転エネルギーを上半身へ伝える「連動性」が求められる動作です。
このとき重要になるのが、体幹の安定性と股関節の柔軟性です。
ところが、これらが不足していると本来使うべき筋肉がうまく働かず、腰で無理に動作を代償する=代償動作が生じます。
たとえば、股関節が硬いと骨盤がスムーズに回らず、その分を腰椎の回旋でカバーしようとしてしまうのです。
このような状態では、腰が本来の可動域を超えて動くことになり、椎間板や関節へのダメージが倍増します。
また、体幹の筋肉(とくに多裂筋・腹横筋)が弱いと、スイング中の姿勢保持が不安定になり、腰への負担がさらに増します。
つまり、「動けない部位」や「弱い筋肉」があるほど、腰が余計に頑張ってしまう構造になっており、それが痛みの根本原因になっているのです。
ゴルフ腰痛のタイプ分け
ゴルフ腰痛と一口にいっても、その原因や動作による痛みのでかたは人それぞれです。
とくにゴルフでは、「どの動きで腰痛が出るか」によって、対処法や改善トレーニングがまったく変わってきます。
ここでは、ゴルファーに多い腰痛を3つのタイプに分類し、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。
自分の症状に合ったタイプを知ることで、無理のない改善がスムーズに進みます。
フレックス型(前屈で痛む)
前かがみになると腰痛になる人は「フレックス型」に該当します。
前屈動作で痛みが出るのは、主に椎間板に圧縮ストレスがかかっている、もしくは腰からはお尻、ハムストリングス(もも裏)の筋力不足、疲労が抜けていないケースが多く、
デスクワークや猫背姿勢が続いている人にもよく見られるタイプです。
このタイプのゴルフ腰痛は、前傾姿勢になるアドレス時に腰が丸くなったり、フィニッシュで上体が崩れやすかったりする特徴があります。
また、ラウンド後に「腰の真ん中が重だるい」「左右、両方とも痛い」「ジーンとした鈍痛が残る」といった訴えが出ることもあります。
対策としては、前傾姿勢時の腰部負荷を減らす体幹強化や、ハムストリングスの柔軟性改善が有効です。
「反らすと楽になる」という人が多いのもこの型の特徴で、腰の丸まりすぎに注意が必要です。
エクステンション型(後屈で痛む)
反らすと痛む/腰を伸ばすと違和感があるという方は、「エクステンション型」に分類されます。
このタイプのゴルフ腰痛は、椎間関節や腰椎後方の組織(関節包・靭帯)に過伸展ストレスがかかっている可能性が高く、とくにスイングのトップからフィニッシュにかけて痛みが出やすくなります。
見た目の姿勢では「反り腰」「骨盤が前傾している」傾向があり、インパクト時に腰が過伸展状態になっていることが特徴です。
日常的には、長時間の立位や仰向け寝がつらいというケースもこの型に多く見られます。
改善のためには、骨盤・胸郭の連動性を高めて腰に頼らない動作を習得することがカギです。
また、お尻やハムストリングスの筋力不足が腰への負担を増やしているケースも多いため、下半身トレーニングも重要です。
ミックス型(伸展・回旋で痛む)
スイングの途中やフォロースルーで腰に痛みが出る場合、「ミックス型」のゴルフ腰痛が疑われます。
このタイプは、身体をひねったときに腰椎に鋭い痛みが走るのが大きな特徴です。
原因は、胸椎や股関節の回旋可動域が低下していることにあります。
本来なら上半身の回旋は胸椎、下半身は股関節で主に行われます。
しかしそれらが十分に動かないと、腰椎が代償的に過剰な運動(ハイパーモビリティ)を強いられるのです。
実は腰椎というのは、構造的に回旋がほとんどできない部位です。
それにもかかわらず、胸椎や股関節がサボってしまうと…
「私が頑張らないと回旋できないじゃん」
「私、頑張るよ!」
そんな風に、腰椎が本来の役割を超えて無理をしてしまう状態になるのです。
結果として、スイング時の伸展・回旋動作で腰を痛める「ミックス型のゴルフ腰痛」が発生します。
このタイプは、自分では原因を特定しづらく、動作チェックや専門的評価が必要になるケースも多いため、注意が必要です。
改善のためには、
- 胸椎の回旋モビリティを高めること
- 股関節の柔軟性を取り戻すこと
- 体幹の安定性を鍛えること
という3方向からのアプローチが効果的です。
ラウンド中・直後のゴルフ腰痛を最速で抑える
ゴルフのラウンド中やプレー直後に腰がズキッと痛み出すことは、決して珍しくありません。
そのゴルフ腰痛を悪化させず、できるだけ早く軽減させるためには、「タイミングに応じた正しい対処」が必要です。
ここでは、48時間以内の応急処置から、市販薬・サポーターの活用法、やってはいけないNG行動、そして即効ストレッチまで、
腰痛を最速で落ち着かせる方法を専門家の視点でわかりやすく解説します。
ゴルフ腰痛発症から48時間以内はアイシング&安静
ズキっとする腰痛が出た直後の48時間以内は、「冷やす・休む」が鉄則です。
とくにゴルフのプレー中に腰痛が出た場合、その場で無理に続けると状態を悪化させてしまう可能性があります。
まずは氷嚢やアイスパックなどで痛むところを10〜15分間冷却し、炎症や腫れを抑えましょう。
その後、なるべく腰に負担がかからないようスイングを控えめにするか、思い切ってプレーを中断する判断も大切です。
また、車の運転やクラブの積み下ろしなど、ラウンド後の動作でも腰に負担をかけやすいため、荷物の持ち上げ方にも注意しましょう。
ゴルフ腰痛が出た直後は、「早めの処置×無理しない」という姿勢が最も大切です。
痛み止め・コルセット活用のタイミング
応急処置だけではゴルフ腰痛が収まらない場合は、市販の鎮痛薬やコルセット(腰部サポーター)の活用が効果的です。
痛みが強いときは、NSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)が即効性に優れており、痛みによる動作制限を一時的に軽減できます。
ただし、服用前に「胃腸への負担がないか」「既往歴があるか」などを確認し、必ず用法容量を守ることが重要です。
また、コルセットは固定しすぎないタイプを選び、動きを妨げない範囲で装着すると良いでしょう。
スポーツタイプのマグダビットのスポーツタイプがおすすめです。
順位 | 商品名 | ポイント | 最安価格 |
---|---|---|---|
1 | M495 ライト バックサポート | 軽量でソフトな装着感。 腰に不安がある人向けの日常使いタイプ。 |
|
2 | M493 ユニバーサル バックサポート | しっかり固定したい人向け。 プレー中の安定感を重視するならこちら。 |
長時間の着用は筋力低下につながるため、使うのは痛みが強い場面に限ることが大原則です。
適切なツールを一時的に活用することで、回復のチャンスを逃さずに済みます。
ゴルフ腰痛のNG行動TOP3
ゴルフ腰痛を悪化させやすい「やってはいけない行動」は意外と多くあります。
とくに以下の3つは要注意です。
- ゴルフ中の腰痛を我慢してプレーを続ける
痛みがある状態でスイングを繰り返すと、微細な損傷がさらに悪化し、慢性腰痛化のリスクが高まります。 - 痛い部位を温めすぎる
発症直後の48時間以内は炎症反応が強いため、お風呂やカイロなどで温めると逆効果になることがあります。 - 飲酒でごまかす
アルコールには痛覚を鈍らせる作用がありますが、炎症を広げたり内出血を促進する可能性もあるため注意が必要です。
腰痛が出たら、まずは「無理しない・冷やす・酒を控える」。この3原則を守るだけでも、回復力は大きく変わります。
ゴルフ腰痛緩和ストレッチ|ゴルフ場ですぐできるストレッチ4選
冷却や安静で痛みがやわらいできたら、次のステップとして軽めのストレッチを取り入れてみましょう。
ここでは、ゴルフのラウンド中や直後にも無理なく行える、腰まわりの筋肉をやさしく伸ばす即効性のあるストレッチを4つご紹介します。
どれも痛みがない範囲で、呼吸を止めずにゆっくり行うことがポイントです。
腰方形筋ストレッチ
スイング中の側屈や回旋動作で酷使される「わき腹の奥(腰の横)」にある筋肉=腰方形筋を伸ばし、左右の腰の張り・片側に起こるゴルフ腰痛を緩和します。
特に「フォロースルー後に片側だけ痛む」方に有効です。
方法:
- 椅子に座る、または直立し、両手を腰または頭の後ろに添えます。
- 片腕を真上に伸ばし、ゆっくりと反対側に体を倒します(例:右腕を上げたら左に倒れる)。
- わき腹の奥が伸びている感覚を感じたら、そのまま20〜30秒キープ。
- 左右を交互に行います。
広背筋ストレッチ
「スイングのテイクバック〜フォロースルー」で引っ張られ続ける広背筋を伸ばすことで、肩甲骨の動きと背中の回旋の滑らかさを改善し、腰部への代償負担を軽減しゴルフ腰痛の改善に期待できます。
方法:
- 壁・イス・またはクラブを前に置き、両手を肩幅で支えます。
- 両腕をまっすぐ伸ばしたまま、腰を後ろに引いてお辞儀をするように前傾。
- 背中〜わき腹に心地よい伸びを感じたところで20〜30秒キープ。
- 腰を反りすぎず、お腹の力を軽く入れて安定させるのがポイントです。
腸腰筋ストレッチ
「骨盤前傾+腰椎伸展」に強く関与する腸腰筋を伸ばすことで、腰の反りすぎを防ぎ、ラウンド中の腰の張りや腰痛を予防します。
反り腰タイプ・エクステンション型の方に特に効果的です。
方法:
- 片膝立ちの姿勢を取り、前足は膝90度・後ろ足の膝は床につけます。
- 骨盤を軽く前傾させるイメージで、体全体を前にスライド。
- 後ろ足の付け根(股関節前面)がじんわり伸びている感覚があればOK。
- 20〜30秒キープし、左右を交互に行います。
ジャックナイフストレッチ
ハムストリングス(もも裏)と腰部を同時に伸ばすことで、前傾姿勢での柔軟性を高め、アドレス姿勢の安定と腰部負担軽減に役立ちます。
ゴルフ後半で腰が詰まる感じがする人にもおすすめです。
方法:
- 足を肩幅に開き、軽く膝を曲げた状態で前屈します。
- 両手で足首やすねをつかみ、背中を丸めすぎずに深く倒します。
- 腰と太もも裏が同時に伸びている感覚があればOK。
- 20〜30秒静止し、無理に引っ張らないように注意してください。
※どれも痛みが出る場合は無理に行わず、中止してください。反動をつけず、20〜30秒静止を目安に行うと効果的です。
ゴルフ腰痛を改善する自宅トレーニング5選
ゴルフによる腰痛は、正しいセルフケアを続けることで改善と再発予防の両方が可能です。
特に、自宅でできるトレーニングやストレッチは、スイングの動作改善や体の使い方の癖を見直すきっかけにもなります。
ここでは、腰痛持ちのゴルファーが無理なく取り組める5つのエクササイズを紹介します
どれも器具なし・短時間で実践可能な内容なので、日々のルーティンに取り入れてみてください。
ジャックナイフストレッチ
腰・もも裏の柔軟性を高め、アドレス姿勢を整えるストレッチです。
ゴルフでは前傾姿勢が長く続くため、もも裏(ハムストリングス)が硬くなると、骨盤の傾きが悪くなり腰に過剰な負担がかかります。
【やり方】
- 足を骨盤幅に開いて座り、両手で足首を掴みます。
- 胸と太ももをくっつけたままゆっくり膝を伸ばしていきます。
- 背中を丸めすぎず、もも裏が伸びている感覚を感じる。
- 20〜30秒キープ×2〜3セット。
※反動をつけず、呼吸を止めないように注意しましょう。
プランク
体幹の安定性を高め、スイング中の姿勢維持力を強化するトレーニングです。
ゴルフ腰痛の多くは「腰が動きすぎること(代償動作)」が原因のため、
腹横筋・多裂筋といった深層筋を活性化させて腰部を安定させることがゴルフ腰痛改善のカギになります。
【やり方】
- うつ伏せになり、肘を肩の真下についてつま先を立てます。
- 腰が反らないように注意しながら、体を一直線にキープ。
- 呼吸を止めず、30秒〜60秒を目安に保持。
- 1日1〜2セットから始め、慣れたら時間を延ばします。
※フォームが崩れる場合は、膝つきから始めてもOKです。
サイドプランク胸椎回旋
体幹の側部+胸椎の回旋可動域を同時に鍛えるエクササイズです。
スイング中に胸椎がうまく回らないと、その動きを腰椎が代償しやすくなり、慢性的な腰痛を招きます。
【やり方】
- 横向きに寝て、肘を肩の真下についてサイドプランクの姿勢をとります。
- 上の手を胸の前に当て、息を吐きながら胸を開いて天井を見るように回旋。
- ゆっくりと元に戻し、10回×左右2セット。
※腰が落ちないように体幹を締めた状態をキープしましょう。
※難しいですが重要な筋トレです。
腸腰筋ストレッチ
腰椎の過伸展(反りすぎ)を防ぐために重要な、股関節前面のストレッチです。
反り腰の方や回旋で腰痛が出る方におすすめです。
【やり方】
- 片膝立ちになり、前足は90度、後ろ足の膝を床に置きます。
- 骨盤を前に押し出すようにして、股関節の前側を伸ばします。
- 20〜30秒キープ×左右2セット。
※腰を反らないように、お腹とお尻に力を入れるのがコツです。
ブルガリアンスクワット
股関節の可動域拡大と臀部(お尻)・ハムストリングスの強化に有効な下半身トレーニングです。
左右の筋力バランスや骨盤の安定性を整えることで、スイング時の軸ブレを防ぎ腰痛予防に繋がります。
【やり方】
- イスやベンチに後ろ足を乗せ、前足を1歩前に出して構えます。
- 背筋を伸ばしたまま、前足の膝を90度に曲げてしゃがみます。
- お尻の筋肉に効かせて元の位置に戻る
- ゆっくり10回×左右2セット。
※最初は自重でOK。慣れたら軽いダンベルを持つと効果アップ。
ゴルフスイング改善で腰痛再発を防ぐ|体の使い方修正方法
スイングによる腰痛を繰り返す多くのゴルファーは、「フォームを直せば治る」と考えがちですが、本質的な原因は体の使い方の癖と運動制御能力の乱れにあります。
私はNASM-PES(全米スポーツ医学協会認定パフォーマンススペシャリスト)として、数多くのスポーツ愛好家やアスリートの身体評価と動作改善をサポートしてきました。
この資格は、動作連鎖(キネティックチェーン)の破綻を見極め、障害リスクを軽減するための世界的に信頼される資格です。
本章では、その知見を活かして「腰を守る体の使い方」に焦点を当て、再発リスクを下げる3つの具体的な動作修正をご紹介します。
フォームを大きく変える必要はありません。
正しい動作制御を身につけるだけで、腰の負担は確実に減らせます。
プレセットで安定した下半身支持をつくる
NASM-PESの観点から見ると、アドレス時の下半身支持の安定性は、スイング時の代償動作(compensatorymovement)を防ぐ最重要ポイントです。
スタンス幅が狭すぎたり、足元が不安定だと、骨盤や体幹の支持力が低下し、腰椎が無理にバランスを取ろうとして過剰に動いてしまいます。
これにより、椎間関節や筋・筋膜に不自然なストレスがかかり、スイングのたびに微細なダメージが蓄積されていきます。
【実践ポイント】
- 足幅は「肩幅+拳1つ分」を目安に
- 体重が左右均等になるように立つ
- アドレスで膝・つま先の向きを鏡や動画で確認する
「安定した構え」は、腰椎に余計な役割を押しつけないための最初の守りです。
トップ位置では右股関節で受け止める
スイングのトップで体重をしっかり右股関節に乗せられないと、軸がブレて腰椎への過剰な回旋ストレスが生じます。
これは、NASMの運動連鎖理論でいう「ローディング不足」の状態であり、スイングのためを作れない大きな原因となります。
トップの位置で「右のお尻にしっかり乗っている感覚」があれば、骨盤の安定性が高まり、スムーズに切り返せるようになります。
しかし、そのためには単なる意識だけでなく、関節の柔軟性と筋力の土台が必要です。
この動きを安定して行うために、先ほど紹介した以下のトレーニングが効果的です:
- ブルガリアンスクワット:左右の股関節の安定性を養い、体重をしっかり片足で受け止める感覚が磨かれます。
- 腸腰筋ストレッチ:股関節前面の柔軟性を高め、骨盤の前傾・後傾を制御しやすくなります。
- ジャックナイフストレッチ:腰部から太もも裏の可動域を確保し、前傾姿勢時の骨盤制御力を高めます。
これらの動作を日頃から取り入れることで、「右で受け止める」動きが無理なく再現できるようになります。
フィニッシュで骨盤を正面に戻す
スイングのフィニッシュでは、骨盤がターゲット方向に向いていることが理想です。
このとき骨盤が十分に回らず、胸だけが先行してねじれていると、回旋のねじれが腰椎に集中し、再発のリスクが高くなります。
NASMの視点では、このような「骨盤と胸郭の分離」は典型的な代償動作です。
しっかり骨盤を正面に戻すことで、回旋の力を腰ではなく骨盤と胸郭全体で受け止められるようになります。
この動作を支えるために、先ほど紹介した以下のエクササイズが効果的です:
- プランク:体幹全体の固定力を高め、骨盤の抜けを防止します。
- サイドプランク+胸椎回旋:胸椎の柔軟性と回旋コントロール力を鍛えることで、スイング後半の自然な動作を支えます。
とくにサイドプランクで「骨盤が落ちない」「胸をしっかり開く」感覚を身につけることで、フィニッシュ時の姿勢安定に直結します。
補足:NASM-PESとは?
NASM-PES(PerformanceEnhancementSpecialist)とは?
米国の権威あるスポーツ医学団体
「NASM(NationalAcademyofSportsMedicine)」
が認定する、動作分析とパフォーマンス向上の専門資格。
MLBやNFLなどのプロチーム、トップアスリートのトレーナーも多数取得しており、
動作連鎖・障害予防・筋機能評価に関する世界的に標準化された知見を提供する資格です。
ゴルフ腰痛に悩む人からよくある質問(Q&A)
ゴルフ腰痛に悩んでいる方からよく寄せられる質問を、プロフェッショナルの視点からわかりやすくお答えします。
「病院に行くべき?」「ストレッチだけでいいの?」といった不安を解消し、安心してプレーを続けられるためのヒントが見つかるはずです。
ゴルフで腰痛があるとき、プレーを続けても大丈夫?
回答:痛みが軽度なら条件付きでOKです。
痛みが軽い場合は、コルセットやアイシング、ストレッチなどを組み合わせればプレー可能です。
ただし「前屈・後屈・回旋で強い痛みが出る」「歩くのもつらい」などの場合は、無理をすると悪化します。
安静にして48時間ほど様子を見るのが望ましく、改善しない場合は受診を検討しましょう。
ゴルフ腰痛のときは冷やす?温める?
回答:発症48時間以内は冷やす、それ以降は温めるのが基本です。
急性腰痛(いわゆるギックリ腰を含む)の場合、発症直後は炎症が起きているため「冷却」が効果的です。
48時間を過ぎて痛みが引いてきたら、血流促進のために温めた方が回復が早くなります。
判断に迷ったときは、「熱感があるうちは冷やす」が基本です。
ゴルフ腰痛にはストレッチだけでも改善できますか?
回答:ストレッチだけでは不十分です。
ストレッチは確かに柔軟性を高め、痛みの軽減に役立ちます。
しかし、それだけでは筋力や姿勢制御が改善されず、再発リスクが高いままです。
ストレッチに加えて、体幹・股関節のトレーニングをセットで行うことが、根本的な改善と予防につながります。
腰痛のあるゴルファーにおすすめのサポーターはありますか?
回答:スポーツ用の軽量タイプがおすすめです。
ゴルフでは可動域が求められるため、ガチガチに固定するタイプよりも「軽く支えるタイプ」が適しています。
例えば、マクダビッドのM495(ライトタイプ)やM493(ユニバーサルタイプ)は、可動性を妨げず腰部を安定させられるため、プレー中の不安軽減に効果的です。
ただし、長時間の使用は避け、痛みが強いときに限定して使いましょう。
ゴルフ腰痛は手術が必要になるケースもありますか?
回答:ほとんどのケースで手術は不要です。
椎間板ヘルニアや狭窄症のような重度の障害がある場合を除けば、9割以上のゴルフ腰痛は保存療法(運動療法・物理療法)で改善が可能です。
実際に、早期のストレッチや筋力トレーニングでスイングの安定性が向上し、腰痛が再発しにくくなるケースが多く報告されています。
自己判断せず、専門家による評価を受けることが大切です。
ゴルフ腰痛は改善できる|まとめ
ゴルフ腰痛は特別な人だけの悩みではなく、多くのゴルファーが直面するスコアを左右する問題です。
しかし、正しい知識を持ち、原因に合ったケアとトレーニングを実践すれば、再発を防ぎながら快適なプレーが続けられます。
「今のままで大丈夫かな?」と不安を感じた方は、ぜひ本記事のセルフケアと運動を取り入れてください。
継続こそが、痛みからの脱却とスイングの安定につながります。
あなたのゴルフ人生を長く楽しむために、今日から腰にやさしい一歩を始めましょう